自分たちに提供してくれた曲なのに、書いた人本人に、それを歌われちゃうことが多い。で、それが往々にして、すっごくいい仕上がりになってしまったりする。「うちら、ちょいちょいそういうことされんのよねー。だからここではっきり言っといてね、『これはPUFFYに書いた曲なんです！』って」。2010年7月17日、富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われたフジファブリックのイベント『フジフジ富士Q』にPUFFYが出演した時、MCで、フジのメンバーにそう言っていた。「確かにちょいちょいそういうことされてる！ 俺もそう思ってた」と、大笑いしたのを覚えています。しかし、なんでそういうことをされるのか、つまり、なんで曲を提供したアーティストがそれを自分でも歌うのかというと、あたりまえだけど、いい曲だと思っているからなわけで、つまり「いらない曲をあげました」じゃなくて「あげちゃったけどもったいなかった」とどこかで感じているわけで、要はそのような、いわば「いい曲を提供させてしまう力」のようなものが、PUFFYというユニットにはある、とも言えます。ならばそれを集めればいいじゃないの！　なければやってもらえばいいじゃないの！ それ以外もおもしろいテイク、集めればいいじゃないの！ という経緯で制作が決まった、のかどうかは知りませんが、そういう意味で、いわゆるカヴァー・アルバムやトリビュート・アルバムとは、相当違う出来になっています、この『PUFFY COVERS』は。では、1曲ずつショート・レビューをお届けします。
（文＝兵庫慎司 ロッキング・オン／RO69）